「諸概念の迷宮(Things got frantic)」用語集

本編で頻繁に使うロジックと関連用語のまとめ。

【用語集】【段階的発展説】スコットランド啓蒙主義の「段階的発展説」

段階的発展説」そのものにも歴史があります。

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フランス人哲学者ヴォルテールをして「われわれは文明に関するアイデアのすべてについて、スコットランドに頼っている」と言わしめたスコットランド啓蒙主義。歴史分野では文明の「自然発展」に関するメタ社会学的な議論を持ち出す傾向が強く、自らはそれを「自然な歴史」あるいは「推測的な歴史 (onjectural history)」と呼んでいた。このアプローチを創始したのはデビッド・ヒューム (1757年)で、アダム・ファーガソン (1767年)、ジョン・ミラー (1771年)、アダム・スミス (1776年) らが発展させるうちに発展段階説のフォーマットが整えられた。

たとえばスミスは、4 つの経済段階を通って進歩するものとして歴史を見て政治や社会構造はそれに伴うとした。

狩猟採集段階-田園遊牧民段階-農業封建主義段階-製造業段階

最後の製造業段階こそがスコットランドがこれから入ろうしている段階で、それは分業と商業拡大によって達成されるとした。

スコットランドの学者達は同時に「叙述的」歴史も追求。デビッド・ヒュームHistory of England(1754年~1762年) を皮切りにロバートソン(1759年, 1769年)やファーガソン(1783年)が試み、そのスタイルがイングランドにおいてもエドワード・ギボンローマ帝国興亡史(1776年)に採用される事になる。

アダム・スミスの「四段階発展説

  • 狩猟採集段階
  • 田園遊牧民段階
  • 農業封建主義段階
  • 製造業段階

そう、この段階では「発達段階説(推測的歴史)」も「叙述的歴史」も(あくまで実地調査に基づく検証を前提としない)ディスクール(語り口調)のバリエーションに過ぎず、大切なのは「スコットランドはこれからどうすべきか」なる結論だけだったのです。