近代を前期と後期に分ける峻別点。国王や教会の伝統的権威と、それへの無限闘争を誓った政治的ロマン主義が対消滅に終わった後のイデオロギー的空白を埋めるべく新たな対立構図が構築されたのです。
それを継承して古典的自由主義や女性解放論や近代的人種平等論に数理的裏付けを与えた英国人数学者ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill、1806年~1873年)の「 自由論(On Liberty, 1859年)」における「文明が発展するためには個性と多様性、そして天才が保障されなければならないが、他人に実害を与える場合には国家権力が諸個人の自由を妨げる権利が生じる」なる提言。 事実上、両者を統合する超越的概念として同年発表されたとしたチャールズ・ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809年~1882年)の「種の起源(On the Origin of Species、初版1859年)」における「進化は系統的に展開する」系統進化論。その登場によりマルサス「人口論(An Essay on the Principle of Population, 初版1798年~第6版1826年)より遥かに発展的な形で時間概念が操れる様になった。 しかもその展開はあくまでラマルク的形質獲得論ではなく、確率論的生存バイアスに基づくとした。増販に際してはさらに性淘汰/性選択(Sexual Selection)概念に言及し「格好いい/可愛い」尺度だけで生き延びる生存戦略も肯定している。 ちなみに同年日本では「安政の大獄」事件が勃発しています。 近代日本の夜明けはまだまだ遠い…