「段階的発展説」そのものにも歴史があります。

共産主義もまた社会進化論のパラダイムに則っていた。現にカール・マルクスは、進化論が唯物史観の着想に寄与したとしてダーウィンに資本論の第一巻を献本している。マルクスは、あくまで社会進化論が資本主義の存続を唱う点と一線を画し、資本主義自体が淘汰されると説いている。
唯物論者エンゲルスは『種の起源』が出版されると、すぐさま読んで、その感想を盟友マルクスに次のように書き送っている(「マルクスへの手紙」、1859年12月11日か12日付)。「ところで、いまちょうどダーウィンを読んでいるが、これはなかなかたいしたも
のだ。「目的論」はこれまである一面にたいしてまだうちこわされていなかったが、
これがいまなしとげられた。(大月書店『マルクス・エンゲルス全集』29巻409ページ)」
ダーウィンが「目的論」的自然観を打ち壊したことによって、唯心論(あるいは観念論)に最終的な打撃が加えられたとエンゲルスは評価したのである。マルクスが『種の起源』を読んだのは出版後一年たった1860年の11月か12月のようだが、『種の起源』によって「はじめて、自然科学のなかの『目的論』が、致命的な打撃を受けた」とラサール宛の手紙(1861年1月16日付)に書いている(同、30巻467ページ)。
スコットランド啓蒙主義を批判的に継承したバリエーションの一つ。
直接的にはフリードリッヒ・リストら歴史学派の流れとも。
この種の言説の多くが「後進国たる自国に産業革命を導入するにはどうしたら良いか」を主題とするある種の方便(すなわちそれを無視しても成立する主張)だったのに対し、むしろそうした自助努力を放棄して嘲笑し(マルクス自身英国に亡命して以降故国ドイツの事を考えなくなり英国の展開だけを対象に「資本論」を執筆)「先に資本主義を実現した国家から共産主義化していく」と勝手に予言した挙句の果てに外す(実際に共産主義革命が起こったのはむしろ帝制ロシアや中華民国といったさらなる後進国だった)という醜態を曝す展開に。