という事で最初に取り組むのは「数列(numerical sequence あるいは )そのもの」という展開になった訳です…
要素の列
無限個だが1,2,3,⋯と数えることができる成分が与えられたとき、それらを並べる順序を考慮した上で組にしたものを成分の列(sequence)や無限列(infinite sequence)などと呼びます。成分の列をどのように定式化すればよいでしょうか。
成分の列を定めることは、1,2,3,⋯という無限個の自然数に対してx1,x2,x3,⋯という要領で成分を割り当てることを意味します。ただし、xnは自然数(natural number)nに対して割り当てられた成分であると同時に、成分の列を構成するn番目の成分であり、列の第n項(n-th term)と呼びます。また、こうして特定された列を、
- x[n](n=1~∞)
- x[n](n∈N)
などで表します。
成分の列に関する固有性は、任意の成分の列x[n](n=1~∞),x’[n](n=1~∞)に対して、
- x[n](n=1~∞)=x’[n](n=1~∞) ⇔ ∀n∈N:xn=x′n
が成り立つ、というものです。つまり、2つの成分の列が等しいとは、任意の自然数nに対してそれらの第n項がそれぞれ等しいことを意味します。
全称記号(universal quantifier) - Wikipedia
数理論理学において「全ての(全称量化)」を表す記号である。通常「∀」と表記され、全称量化子、全称限量子、全称限定子、普遍量化子、普通限定子などとも呼ばれる。
可算集合族の直積
可算集合族{x[n](n=1~∞)}が与えられたとき、それぞれの集合X[n]から要素x[n]∈X[n]を適当に選んだ上で要素の列x[n](n=1~∞)を構成できます。そこで、このようなすべての要素の列からなる集合を、
- sum(i=1~∞)X[i]={(x[n](n=1~∞) | ∀n∈N:x[n]∈X[n]}
で表し、これを{X[n]}n∈Nの直積集合(direct product)やカルテシアン積(Cartesian product)などと呼びます。つまり、
- x[n](n=1~∞)=sum(i=1~∞)X[i] ⇔ ∀n∈N:x[n]∈X[n]
という関係が成り立ちます。また、X[n]をsum(i=1~∞)Xiの第n因子(n-th factor)と呼びます。特に、任意のn∈Nに対してXn=Xの場合にはこの直積はX×⋯×X×⋯となるため、この集合をX∞で表します。
可算集合族{x[n](n=1~∞)}に含まれる少なくとも 1 つの集合Xnが空集合ϕの場合にxn∈Xnは偽であるため、直積の定義よりsum(i=1~∞)X[i]=ϕが成り立ちます。
あれ? もしかしたら直積(direct product)やカルテシアン積(Cartesian product)って直交座標系(rectangular coordinate systemあるいはorthogonal coordinate system)におけるN次元の概念を一般化したもの?
数学における対象(図形)の次元(dimension) - Wikipedia
(やや不正確だが)その対象に属する点を特定するのに必要な座標の数の最小値として定まる。次元はその対象の内在的性質であって、その対象が「どのような空間に埋め込まれるか」ということとは無関係であることに注意すべきである。
- 例えば、平面における単位円上の点は、平面上の点として二つの成分を持つ直交座標系によって特定することもできるけれども、極座標の偏角としての一つの座標のみによっても特定することができるので、単位円は(二次元の平面上に存在するものであるけれども)一次元の対象である。このような内在的な次取り扱いは、日常的な意味で用いられる「次元」とは異なる、数学的な意味での次元の概念を峻別するための根本的な観点である。
- n-次元ユークリッド空間Enの次元はnである。このことを別な種類の空間に対して一般化しようとするとき、「En を n-次元たらしめるところのものはいったい何であるか」という問題に直面する。その一つの答えとして、Enにおける球体を固定し、それを小さい半径εの球によって被覆するとき、被覆に必要な小さい球の数のオーダーがε−nであることが挙げられる。この観点からはミンコフスキー次元あるいはより精緻なハウスドルフ次元の概念が導かれる。
- しかし、先ほどの問いの別な答えとして、例えばEnにおける球体の境界が局所的にEn−1と見なせることを挙げれば、帰納次元の概念が導かれる。これらの次元の概念は En上では一致するけれども、もっと一般の空間で考えたときには異なるということが起こりうる。
- 正八胞体(テッセラクト)は四次元図形の例である。数学と関係ない文脈では「正八胞体は四つの次元を持つ」というような「次元」の語の用例が見られるものの、数学用語としての用法では「正八胞体は次元 4 を持つ」とか「正八胞体の次元は 4 である」といったような表現になる。
高次元の概念自体はルネ・デカルトまで遡れるかもしれないけれども、実質的な高次元幾何学が形成され始めるのは19世紀に入ってから、ケイリー、ハミルトン、シュレーフリ、リーマンらの研究を通じてである。1854年にリーマンのHabilitationsschrift、1852年にシュレーフリのTheorie der vielfachen Kontinuität、1843年にハミルトンの四元数の発見、ケイリー数の構成などによって、高次元幾何学の幕は開かれた。
とりあえずもっと単純な定義から出発する必要がありそうです。
ある数はそれ単独で興味深い性質や深い意味を持っているかもしれない。単独ではそれほど面白くはない数たちもまとめて考えると興味深い性質を持つかもしれない。数列を考える意識は後者に属する。数列とは例えば正の奇数を小さい順に並べた
- 1, 3, 5, 7, …
のような数の“並び”である。並べる数に制限を加えて、たとえば自然数のみを並べるならば、これを自然数列と略称する。整数、有理数、実数などのほかの数体系を用いる場合も同様の略称を用いる。各々の数の“置かれるべき場所”は数列の項 (term) と呼ばれる。数の並びが数列と呼ばれるためには、数列の各項を“順番に並べる”こと、つまりそれぞれの数が何番目の項に配置されているのかを一意に示すように番号付けができなければならない。したがって、“最も簡単”な数列は自然数を小さい順に並べた数列
- 1, 2, 3, 4, …
ということになる(これは自然数が順序数であることによる)。
考える数列に端が存在する場合がある。数列の端に存在する項は、その数列の最初の項、または最後の項であると考えることができる。数列の最初の項をその数列の初項(first term)といい、最後の項を数列の末項(last term)と呼ぶ。 数列に対して必ずしも初項と末項を定めることはできない。たとえば「すべての自然数」を表わす数列の項の数は「自然数の個数」に等しいが、自然数は無限に存在するため、その末項は存在しない。このように末項が定まらないような数列は、無限数列(infinite sequence)と呼ばれ、末項を持つ数列は有限数列(finite sequence)と呼ばれる。
初項を表わす添字(subscript/index)または係数(coefficient)は自由に与えることができ、議論や計算を簡単にするように選ばれるが、慣習的に0または1 が与えられることも多い。たとえば有限数列の初項の添字を1から始めた場合、末項は項数に等しい添字nが与えられるため、記述が簡単になる。
- プログラム言語の世界では概ね配列(array)Aから特定の項を抽出する為の番号A[1~length(A)]を指す。
統計言語Rによる「もっとも原始的な」実装例
c0<-c(1:5)
c0[1]
[1] 1
c0[5]
[1] 5使用者の側から見れば関数に引き渡す引数(parameter)と機能的に重なる部分が多い。実際、近年まで数理利用者の多くが計算を楽にすべく誰かがあらかじめ計算しておいてくれた数表(mathematical table または numerical / numeric table)に依存してきたのだった。
統計言語Rによる「もっとも原始的な」実装例
f0<-function(x)x
f0(1)
[1] 1
f0(5)
[1] 5特別な数列には、項の並びに規則性のあるものがある。代表的なものは、等差数列や等比数列あるいはフィボナッチ数列のように漸化式で定義される数列である。
漸化式(recurrence relation; 再帰関係式) - Wikipedia
各項がそれ以前の項の函数として定まるという意味で数列を再帰的に定める等式である。
ある種の漸化式はしばしば差分方程式 (difference equation) と呼ばれる。また、「差分方程式」という言葉を単に「漸化式」と同義なものとして扱うことも多い。
漸化式の例として、ロジスティック写像X[n+1]=aXn*(1-X[n])が挙げられる。このような単純な形の漸化式が、しばしば非常に複雑な(カオス的な)挙動を示すことがあり、このような現象についての研究は非線型解析学などと呼ばれる分野を形成している。
で、この部分が「中学受験算数」でどうなってるかというと…
数列とは、規則性に沿って並んだ数字のことです。例えば整数(自然数)を並べると
- 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, …
このようなものも数列といいます。最初の数字(今回は1)を第1項、2番目の数字(今回は2)を第2項、324番目の数字(今回は324)を第324項といいます。
①等差数列(arithmetic progression)あるいは算術数列(arithmetic sequence)
最もメジャーな数列だと思います。次の項へ、同じ数字を足していく数列です。
- 2, 5, 8, 11, 14, 17, …
初項2から3ずつ増えているのが見えると思います。この増えていく数(今回は3)を公差(common difference)といいます。
②等比数列(geometric progression)あるいは幾何数列(geometric sequence)
等差数列は足していきましたが、等比数列はかけていきます。次の項へ、同じ数をかけていく数列です。
- 3, 6, 12, 24, 48, …
初項3に2をかけていくのが見えると思います。このかけていく数(今回は2)を公比(common ratio)といいます。
③階差数列(progression of differencesあるいはsequence of differences)
各項の差が数列になっているような数列です。言葉では説明しづらいので、例を出して解説します。
- 2, 3, 6, 11, 19, 28,…
次の項にいくのに、いくつ足しているかを考えてみましょう。
- +1,+3,+5,+7,+9…
初項が1、公差が2の等差数列になっています。これを階差(differences)といいます。
④フィボナッチ数(Fibonacci number)
どの項も前の2つの数の和になっている数列のことです。
- 0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, …
となり合うふたつの数字を足してみてください。その和が、右どなりの数字になっているのがわかると思います。 生物や自然界につながりの強い数列で、身近なところでも多く見られます。ハチやアリやひまわりの話は有名で、とてもおもしろいので、是非時間がある時に調べてみてください。
⑤平方数(square number)
同じ数を2回かけた数列です。
- 1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, …
書きかえると
- 1×1, 2×2, 3×3, 4×4, 5×5, 6×6, 7×7, …
となります。
(ニュートンの)重力定数( (Newtonian) constant of gravitation)みたいにヒューステリック解釈に便乗してちゃっかり定数の仲間入りを果たしてるのも混ざってますね。その辺りを見逃さないのが「中学受験算数」の世界…