「諸概念の迷宮(Things got frantic)」用語集

本編で頻繁に使うロジックと関連用語のまとめ。

【コンピューターで数理】【数列】【実数】【数直線】数(number)そのものの概念の基礎理論(Basic Theory)について。

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吉田武「オイラーの贈物」「基礎理論(Basic Theory)」より

実数Real number)」は有理数無理数から構成されている。「有理数rational number)」とは「ratio)」で書ける数、整数も含めた広い意味での分数の事であり、無理数irrational number)とはかかる表現が不可能な数をいう。
*こうした立場からすると両者は「有比数」「無比数」と呼ぶのが正しい。

統計言語Rを含め、多くのコンピューター言語はそもそもこうしたアプローチ自体を原則として備えていません。どうしても対応する処理が必要とされる場合には汎用計算機代数ソフトウェアYacasなどを導入するしかないのです。

統計言語Rでの汎用計算機代数ソフトウェアYacasによる計算例

library(Ryacas)
yacas("4/6")
expression(2/3)

#Rの計算結果
4/6
[1] 0.6666667

吉田武「オイラーの贈物」「基礎理論(Basic Theory)」より

ある対象について考察する場合、その特徴を主に述べて全体像を把握する方法を定性的(qualitative)アプローチ、その量や大きさに注目して議論する方法を定量的(quantitative)アプローチと呼ぶ。実際に対象をより深く理解するには両方からの綿密な評価(estimation)が不可欠となる。

例題としてのsqrt(2)と不等号/不等式

一辺の長さが1の正方形の対角線の長さである2の平方根Square rootsqrt(2)無理数なので分数の形で書けない。循環しない「無限小数infinite decimal)」なので、いくら桁数を多くとっても真値に等しくはならない。これがこの数の持つ定性的側面である。


その一方で実数は全て「連続性continuity)」を有し「数直線number line)」上に配置可能とされる。これはこの数も持つ定量的側面である。

とはいえ目盛り上の何処と明示不可能である以上、それは目盛り上の位置の明確な自然数や整数や実数との比較によってしか表現し得ない。比較に用いる記号"==""<"">""<="">="のうち大小に関係するものを「不等号inequarity sign)」と呼び、これを含む式を「不等式inequarity)」という。これに対して"=="の様な「等号equal sign)」のみを含む式を「等式Equation)」という。

こういう部分は流石、どのコンピュータ言語にも実装されてますね。
統計言語Rでの汎用計算機代数ソフトウェアYacasによる計算例

library(Ryacas)
#今こそ役に立つ暗記法「一夜一夜に人見頃」
yacas("1<2")
expression(TRUE)
yacas("1<Sqrt(2)")
expression(TRUE)
yacas("Sqrt(2)<2")
expression(TRUE)
yacas("1.4<Sqrt(2)")
expression(TRUE)
yacas("Sqrt(2)<1.5")
expression(TRUE)
yacas("1.41<Sqrt(2)")
expression(TRUE)
yacas("Sqrt(2)<1.42")
expression(TRUE)

 統計言語Rでの計算例

#今こそ役に立つ暗記法「一夜一夜に人見頃」

1<2
[1] TRUE
1<sqrt(2)
[1] TRUE
sqrt(2)<2
[1] TRUE
1.4<sqrt(2)
[1] TRUE
sqrt(2)<1.5
[1] TRUE
1.41<sqrt(2)
[1] TRUE
sqrt(2)<1.42
[1] TRUE

端点(end point)で区切られる閉区間(closed interval)と開区間(open interval)と半開区間(semi-open interval)

実数のある範囲について議論する際には「端点end point)」で区切られる区間について以下の「記法notation)」を用いる。

  • 区間closed interval):a<=x<=b→[a,b]
  • 区間open interval):a<x<b→(a,b)
  • 半開区間semi-open interval):a<x<=b,a<=x<b→(a,b],[a,b)

背景に全ての実数が切れ目を産まない、すなわち「連続性continuity)」を有しているという前提が存在する。

仕様の粗雑なコンピュータ言語に、こうした区別を認識する繊細な感性はありません。

絶対値(absolute value)の導入

ここで記号|x|を導入する。絶対値(absolute value)xと呼び、xの正負に関わりなくその大きさのみを取り出す。すなわち…

  • |x|≡{x(x>=0の時),-x(x<0の時)}
    *"≡"は左辺で右辺を定義(defination)する記号。

この符号を用いれば不等式-a<x<aを簡潔に|x|<a(ただしa>0)と表せるし、幾何学的に考えればそれは数直線上の0を中心とした幅2aの範囲内に数xが存在する事になる。

不等式(inequarity)の定性的(qualitative)側面

ニ数a,bを場合分けする事により、以下が得られる。

  • |a*b|=|a|*|b|

また任意のa,bに対して以下が成立する。

  • -|a|<=a<=|a|
  • -|b|<=b<=|b|

辺々を加えるとこうなる。

  • -(|a|+|b|)<=a+b<=|a|+|b|

これは絶対値記号の定義によって以下の様に書け「三角不等式(triangle inequality)」と呼ばれる。さらにaを(a-b)に置き換えたのが以下。

  • |(a-b)+b|=|a|<=|a-b|+|b|

すなわち以下となる。

  • |a|-|b|<=|a-b|

これは最も基本的な不等式である。

コンピューター言語は(Yacasの様な汎用計算機代数ソフトウェアも含め)このあたりの処理を苦手としています…