経済人類学者カール・ポランニーは主著「大転換(The Great Transformation,1944年)」の中で「(それまで伝統の中に埋め込まれてきた)社会的欲望が次々と貨幣換算され商品化される事により額面以上の付加価値を喪失していくを悪魔の挽臼と呼びました。近代化によって「白飯が食べたい」「鰻の蒲焼きが食べたい」という欲求が順次解消されていく何処かの時点で「この世にお金以上に大切なものは何もない」なるニヒリズムが最終勝利を勝ち取ると悲観的に考えたのです。
でも実際にはそういう社会は訪れませんでした。なら実際に顕現したのはどんな社会だったのでしょうか？(以降エロ注意)。
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ワンルーム日当たり普通天使付き
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国際的に女子の日常から消えた「パンチラ文化」
そもそもそれはある意味1970年代に一世を風靡したウーマンリブ運動の残滓だったのです。当時の女子が好んでミニスカを履き、パンチラなど意にも介さなかったのは、うるさく口出ししてくる母親や年長女性への当てつけという側面があったとも。
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しかしながら、永井豪「デビルマン(1972年~1973年)」などに鮮烈な刻印を残したこの種のルサンチマン、21世紀にまで継承される事はなかったのでした。
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https://youtu.be/aqFjiEByrIo?si=YeR9JTPRydGpI3a4
そう映画「バービー(Barbie,2013年)」のグレタ・ガーウィグ監督の前作「レディ・バード(Lady Bird,2017年)」の中でもそれとなく示される様に、彼女達は「激烈な」"You Oughta know"ではなく「斜に構えた」"Hand in My Pocket"を選好したのです(日本だとどの曲に該当するかは諸説ある)。
そもそも女子中高生の「はいてない文化」の防御力はただでさえ鉄壁状態で①そもそもベースとなるミニタイトスカートが厚手の黒生地やレザーやブラックジーンズ製で、②さらにセーターやショートコートやバッグやスマホケースで上から押さえ付け続ける構造なので、相当の強風でもまるで捲れるという事がない、という有様。
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なお昨年10月より黒のショートキュロットスカートが選択肢に加わり、コロナ規制が開けた今年5月以降はカンブリア爆発期の様な多様化時代に突入。一時期は藤原タツキ「チェンソーマン(Chain saw Man, 2019年〜)」の沢渡アカネや堀越耕平「僕のヒーローアカデミィア(My Hero Academia,2008年~）」のトガヒミコや山田鐘人原作アベツカサ作画「葬送のフリーレン(2020年)」のユーベルみたいな典型的服装を探すのに苦労したほどだったのです。
何故か「悪役」に集中？
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下は一分丈スパッツ辺りが主流との事ですが、路上での確認はまず無理。さらにブログ投稿などで写真撮影慣れしてると「膝頭をピッタリ合わせ中心をズラし、誰か(特に男性の前に)の前に決して座らない」モデル仕草がゴルゴ13みたいに身体に染み付いてたりする有様。
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なお日本の女性作家が描くヒロインは、しばしばこの意味合いにおいて完全に現代っ子だったりします。
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例えばオジロマコト「僕は放課後インソムニア(Insomniacs after school,2019年~2023年）のヒロイン曲伊咲…
）は、桜井のりお「(The Dangers in My Heart,2018年~)」のヒロイン山田杏奈。
しかしながら、こういう話をいくら聞かされても「パンチラを求める心」が一向に鎮まらないのが男子の男子たる所以という…
それでも「非実在パンチラ」を探し続ける修羅の群れ
実際「SNSの挽臼」ことDevianARTやPixivや全盛期Tumbr(2010年代前半)には確実にその筋の求道派集団が存在し、しかも彼らの遺産(エロ絵やエロ動画)は「Tumbr大粛清(2018年)」によって遺失するどころか、少なくともその一部が画像生成AIの餌に。
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散見される「ローアングルしゃがみパンチラ」系作品には90年代的(ちょっとエッチな)グラビア写真っぽい匂いが？
https://x.com/hiranokohta/status/1722593614063382691?s=46
そして遂には究極の…
https://x.com/agekara_illust/status/1720801987812590009?s=46
なんか明らかに「人間の自然な感情表現や物理法則に逆らう表現」まで確実に伝承されてるのが笑えます。さらにはスキャンティを見せたいばっかりにとんでもない「躍動感」が内包されてしまう絵も…
https://x.com/aiirasutocan/status/1722535748220400109?s=46
下着シャワー？
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https://x.com/tanatosu3150/status/1719113906873159688?s=46
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最後のはきっとアレ。桜井のりお「みつどもえ(2006年〜2017年)」の…
紆余曲折の末に辿り着いた驚愕の「最終合議内容」
実は皮肉にもハイウェストで布地もペラペラな女子中高生の制服の方が「パンチラ」の可能性が高いという話もあったりします。とはいえ実際に男子中高生が目にするのは当然スパッツや短パンや裾を捲り上げたジャージばかりで「こうなったら、俺達の側がそれで興奮する方向に進化するしかないのでは？」という悲痛な声も。
https://x.com/t0ka_aiart/status/1720210884226887971?s=46
https://x.com/neneneai/status/1721663461602865548?s=46
あまりにも商業的有用性が強過ぎて①ダンサーやスポーツ選手や幽体離脱体質や外国人といった「入神系キャラ」はパンチラ(およびその類似行為)など気にしない表現を行う事もある。②(読者や視聴者を除き)その鑑賞者が同性もしくは「当事者が気にするのを停止した特定の異性」に限られる限り、それは許される、みたいな方便も生まれました。例えば上掲の「僕ヤバ」の山田杏奈の場合、最終的に交際に至る市川喬太郎への「当事者が気にするのを停止した特定の異性としての許容度」を次第に推移させていきます。
私の記憶が正しければ斉木久美子「かげきしょうじょ!!(2012年~)」の渡辺さらさにもそういう場面が幾度か…
なお少なくとも一部の女性は女性は「気を許し切ったイケメンに裸などを見られても何も感じない展開」に独特のエロティズムを感じるらしく、Tumbr全盛期(2010年代前半)に頻繁に例として挙げられたのが「ブラックラグーン」のこの場面。
ここにいきなり問答無用で割り込んでくるのが「Y字バランス」概念…そういえば前掲の紹介画像でも「僕は放課後インソムニア(Insomniacs after school,2019年~2023年）の曲伊咲ちゃんが試してますね。
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女性作家も女性ファンも多いいわゆる「きらら」系の浜弓場双「ハナヤマタ(2011年~2018年)」にも出て来ますね。あくまで「ある種の入信状態」が場面の前提となってる点に注意。
さらに全盛期Tumbr(2010年代前半)には、そこに集った女性アカウントの間に「「殿方達が私達に秘密で想像の上の美女や美少女にロッカールームやシャワー室の奥で何をしようが気にしない。私達が想像上のイケメンや美少年に何をしようが放っておいてくれる限り」なるモットーが存在していました。そう「対象は男女を問わず」の原則…
当時はSM要素もあるBLゲーム「DRAMAtical Murder(2012年)」なども流行していた時代。まさしく「肉を斬らせて骨を断つ」凄味を秘めた英断だったといえましょう。
なお、ここで「当事者が気にするのを停止した異性」の類型として「殺す事に決めた相手」が入ってくるのが物騒なところ。例えば「科学忍者隊ガッチャマン(1972年~1974年)」の「紅一点」白鳥ジュンはミニスカでハイキックをかましまくりパンツ見せ放題ですが「ハイキックを喰らった相手は脳震盪を起こしてパンツを見た記憶を失う」なんて裏設定があったりします。
永井豪「けっこう仮面(1974年~1978年)」も「顔さえ隠せば恥ずかしくない」「みんなで脱げば恥ずかしくない」といった様々な方便を開拓しましたが、ここで興味深いのが20世紀後半に活躍した女性作家の多くがこの作品のファンだと表明し「途中どんなにヒロインが酷い目に遭わされても、最後は必ず逆転勝利が待ってる(必ず非道の当事者は倒される)と信じ抜けるのが重要」と述懐してる事。
この辺りのエピソードと後藤羽矢子「パヤパヤNote」の以下の記述を重ねるとさらに多くの事が学べそうです。
ここまでが冒頭で触れた「1970年代的レギュレーション」。それでは21世紀の女性作家達はかかる原型をどう受容し発展させてきたのでしょうか。あだちとか「ノラガミ(2011年~)」のヒロイン壱岐ひよりの場合を見てみましょう。彼女は幽体離脱キャラでその時残された身体が状況によってはあられも無い姿を曝す(一人きりでない場合は女友達のフォローでパンチラやブラチラが読者や視聴者以外の異性の目に触れるのを回避)という設定なのですが、実はもう一つ「表面上は優等生でお嬢様っぽく振る舞いっているが、実は大のプロレスファンで技の研究に余念がなく、それを使う機会を狙ってる」「幽体離脱状態では身軽になってイメージ通り身体が動く」という設定もあって、後半は次第にこちらでパンチラする機会が増えてきます。やはり「ある種の入神状態」がキーワードとなってくる点に注意…
吾峠呼世晴「鬼滅の刃(2016年~2020年)に至っては、すべてのリミッターを振り切ってしまった感があります。①精神が鬼と人間の間を彷徨している→何時でも入神状態に突入可能。②大正婦人のでおそらく下着は着用してない→パンチラどころじゃ済まない。③身体能力的には鬼なので、そのハイキックを喰らった相手は何を目にしたにせよ次の瞬間には首が吹き飛んでる。④攻撃対象は主に鬼で、もはや性的対象として意識する必要がない。
この辺りの「(2010年代前半のTumbrで確認され受容されコンセンサスとして定着した)女性が精神的解放を求めると、何か物凄く凶暴な感情が浮上してくる」件については、さらなる掘り下げが必要となってくる様なんです？
それでは冒頭の提言に戻ってみましょう。「資本主義の挽臼は本当に全てを磨り潰して終わるのか？」。それどころかSNS世界には、むしろ「それまで実現の目がないので視野外に追いやられてきた様々な多種多様な欲望を照明する」効果まであるのでは？
https://twitter.com/Imo_ha_umai/status/787560794552532992
そういう可能性が示せた辺りで以下続報…
