「諸概念の迷宮(Things got frantic)」用語集

本編で頻繁に使うロジックと関連用語のまとめ。

【用語集】人間関係空間(Social graph)から関心空間(Interest graph)へ。

マイケル・ブラフォイ(Michael Burawoy)が「公共社会学(publicsociology,1999~2004年)」を提唱したまさにその時代…

インターネット上で最初の成功を収めたFacebook上では「21世紀のメディア公衆論」とでも呼ぶべき新たな議論が始まります。要するにSNSの世界は現実世界を覆い尽くす人間関係空間(Social graph)の射影というより、関心空間(Interest graph)として振る舞う事が明らかとなったのです。その記述には(Facebook技術者の共用語とされる)グラフ理論が使われました。

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SNSなるもの」は、物理的(physical)には、頂点(Node)と(Edge)のみで構成されています。これをある種のグラフ理論で扱う訳ですが、何をNodeEdgeに割り当てるかで両者の立場が分かれる訳です。

  • 人間関係空間(Social graph)…スタンス的に自我心理学(特にアドラー理論)寄りの立場。FacebookTwitterは「Node=個人アカウント」「Edge=(相互フォローを前提とした)個人アカウント間の連絡網」と見立て、Edgeを流れる情報Trafficの量と方向から「影響力の強さ」を算出。この次元における人間の典型的行動パターンは予測が容易なので、近年はBotの跳梁が著しい。
  • 関心空間(Interest graph)…スタンス的に(箱庭療法の背景理論として有名な)対象心理学(Objective Psychology)寄りの立場。「Edge=各投稿の回覧経路」「Node=それに参加した個人アカウントの集合」と見立てるが、ここで興味深いのが「回覧流布には明らかに方向性が存在する(相互Followなど回覧網全体に対するフィードバック確認目的でしか行われない)」「初心者は誰もが最下流回覧者から出発し、原則として回覧内容の品質向上に従ってFollowerを獲得し、上流回覧者(人間関係空間(Social graph)理論における「流行仕掛人(influencer)」)へと昇格していくが、性癖にブレが生じる都度既存Followerを失う一方で新規Followerを獲得する(つまり評価軸が「そのアカウントのカリスマ性」といった単次元ではない)」「各投稿の影響力は当初、累積回覧数と上流回覧者への信頼度でしか判断し得ないが、そのプロセスそのものが機械学習(feature learning、直訳は「表現学習」。「特徴量学習」とも)の一種であり、経験量の蓄積度に応じて上流回覧者への昇格が果たされる(例えばポルノ画像を回覧しているうちに次第に自らの性癖の把握が進み、同時に照明の具合だけで日本製かアメリカ製かドイツ製かそれ以外の欧州製かなどが瞬時に判断出来る様になったりしつつFollower数が増えて行く‼︎)」といった諸特徴で、これがBotにとっては参入障壁と成っている。

実はFacebookTwitterの立脚する「人間関係空間(Social graph)」理論に「関心空間(Interest graph)」理論を対峙させたのはナップスター創業者にしてFacebookの初代CEOを務めたショーン・パーカー(Sean Parker、1979年〜)だったりする。

とはいえ、ショーンの当初の構想における関心空間(Interest graph)は人間関係空間(Social graph)に下属しつつ、その内容をどこまでも拡張(enhance)するオプションに過ぎなかった。まさか国境を越えて互いに投稿を回覧し合うTumblrPinterestの様な匿名SNSが、逆にFacebookTwitterなどのトレンドを左右する時代が来るとは思ってもいなかったに違いない。

最近はむしろ不変の数学的構造体集合(Mathematical Structure Set)への現実世界における問題解決モデルの射影(Projection)という線で考える様になりました。

新たなキーワードとして流行仕掛人(influencer)とかソシオメトリー(sociometry)といった新用語が参入してきます。そう「社会計測」の概念そのものが変わってきたんですね。

一方「関心対象を自ら掘り起こす力」も備えている事が明らかに。

こうした展開の背後に透けて見える「実用主義的楽観論」…

そしてトランプ大統領の時代に…そもそも大統領選挙の時点で自らが中道右派中道左派の寄り合い所帯である事が明らかとなり、Tumbr民の間に思わぬ動揺が走ります。

とりあえず、今回はここまで。