「諸概念の迷宮(Things got frantic)」用語集

本編で頻繁に使うロジックと関連用語のまとめ。

【用語集】「ヒロインが本当に狂っていた」ラブロマンス系譜

キューブリックの元には同時に「エクソシスト2」の制作の依頼も来ていたが、最終的にこちらの制作を選んだ。ただし「エクソシスト」第一作で悪魔に憑かれる少女リーガンが統合失調症を疑われ夥しい検査を受けるのと同様、霊魂、超能力「シャイニング」など科学で説明の付かない事象を説明の付く事象と曖昧に描かれており、関与しなかったにせよ影響は少なくなかったと思われる。

ヒロインが本当に狂っていたラブロマンス系譜として「ベティ・ブルー 愛と激情の日々(37°2 le matin/Betty Blue,1986年)」、およびその完全版(1992年)公開による失速を受けての浅野いにおおやすみプンプン(2007年~2017年)」の国際的ヒットが挙げられる。

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 ただし当事者としてのゴス娘側の自己投影先は「理由もなく昆虫や動物の死体への過剰な関心を抱え、それを写真に撮影する様になった」の西宮結絃や「聲の形(A Silent Voice, 漫画2011年~2014年,劇場版アニメーション2016年)」と「大事な人でも人間なら盲目的に食い殺したくなる」衝動を竹筒を咥え睡眠によって抑える吾峠呼世晴鬼滅の刃(2016年~2020年)」の竈門禰󠄀豆子へと推移していく。

そういえば2000年代前半にして既に「おやすみプンプン」のヒロインについて「ちゃんと治療を受けるべきだった」という批判があり、はっとりみつるさんかれあ(2010年~2014年,TVアニメ化2012年)」のゾンビ化したヒロインは理性と腐敗進行を防ぐべく、三度の食事代わりに紫陽花の葉をモリモリ大量に食べていたのである。

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かくして21世紀ゴス娘達は次第に「(自分達を振り回す)禁断の衝動」に忌避しながら憧れるアンビバレントな感情の揺らぎと縁を切り「基本的にグッスリ眠り(メンヘラ女子とは無縁な)冴えた頭、ピチピチの肌、キューティクルツルツルの自己ベスト状態で問題に対処する。治療法があるなら素直に受け入れる現実主義者へと変貌していくのである(いや実はそれはあくまで生存バイアスに過ぎず「その道だけは選べない」メンヘラ女子達はそんな自分でも黙認してくれるRadical Feminist/veganやAntifaなどへと合流していったとも)。かくして反体制的で「不眠症/夢遊病」や「高揚する魂/疲れ果てた肉体」や「哲哉明けに眺める朝日」を理想視した20世紀ロック魂パンク魂ゴシック魂は急速に過去のものとなっていったのであった。

ちなみにこの流れとパリス・ヒルトンの様な「お騒がせセレブ」の女子人気が急落していく 時期が重なるという分析もある。要するにこうした全体像は「ただの平凡な女子では終わりたくない」(自己肯定感の低さの裏返したる)盲目的自己顕示欲の克服過程とも俯瞰可能なのかもしれない。